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第89回<事実より、市場の受け止め方(?)

 

先週のドル/円は、103円台で週を明け、週中には一旦104円台をつける場面もみられました。しかし長くは続かず102円台まで下落。そして週末に急騰して103円台を回復、というめまぐるしい一週間となりました。とは言え全般的にドルの上値は重く、今週に入ってからは101円台をつける場面もありました。実に8年ぶりのことです。
長引く米景気減速懸念に加え、米雇用統計の弱さなどもドルを大きく後退させる主な要因となりました。失業率は前回4.9%から4.8%へと改善していましたが、非農業部門雇用者数は、6.3万人減と事前予想(2.5万人増)を大きく下回ったのです。

ところで先週は、米雇用統計の前に同じく米国の雇用指標が出されていました。新規失業保険申請件数です。これはその名のとおり、新たに失業保険を申請した件数を集計したもので、毎週木曜日に発表されます。特に雇用統計が発表される前日の数値は、雇用統計を占う意味もあって市場の注目度が高くなる傾向にあります。
新規失業保険申請件数の増加は、文字通り、失業者が増えたことを意味し、景気減速の兆候のひとつとみられます。反対に申請件数の減少は、就職者が増えたことになりますから、景気の上昇を示唆します。したがって失業保険申請件数の減少は、ドル買い要因と捉えることが常識とされているのです

では、新規失業保険申請件数が減れば、必ずドルが買われているのでしょうか。
例えば先週の場合は、35万1千件と前週(37万5千件)より2万4千件の減少となりましたので、常識から言えばドルが買われてもおかしくありません。しかし発表後も、結局ドル安の流れが止まることはありませんでした。

このような現象はこれまでにもありました。例えば、2007年9月20日に発表された申請件数は前週比8千件減となったにもかかわらず、ドル/円が1円以上下落するなど、ドル全面安の展開となりました。つまり申請件数が減少してもドル買い先行とはならなかったのです。

このように新規失業保険申請件数が減少したというだけでは、必ずしもドルが買われることはありませんので、注意が必要です。一つ一つの指標を見るとともに他の指標や要人発言、それに対する市場関係者の受け止め方等も勘案して売買に臨む姿勢が肝要です。

 

参考文献『外為FX失敗に学ぶ成功の法則 』(宮崎哲也著、秀和システム)
    『これを知らずに外貨投資・FXやってはいけない』拙著・テクスト刊 
    『外為FX 買い時・売り時がわかる本』拙著・秀和システム刊
    『わかる!!儲かる!!外貨投資FXのしくみ』拙著・ナツメ社刊

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