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第86回<新規失業保険申請件数と為替相場の関係>

 

先週(2008年2月12日〜16日)のドル/円は、106円台で寄り付いた後、14日に108円台まで急伸しました。これは、主に米小売売上高が+0.3%と事前予想(−0.3%)を大きく上回ったため、米景気減速懸念が後退したことによるものでした。
このように、経済指標の結果が事前予想より大幅に好転していた場合、ポジティブ・サプライズなどと言われ、その国の通貨が大きく買われる傾向があるとされています。今回は、その「常識」通りの動きとなったわけです。

しかしどんな経済指標でも、それが好転していればその国の通貨が買われやすくなるとは限りません。例えば、米国で毎週発表される新規失業保険申請件数などもそのひとつです。

新規失業保険申請件数とは、文字通り、その週に新たに申請された失業保険の件数です。米国の雇用状況を示す材料としては、毎月第一金曜日に出される雇用統計が有名ですが、月に一度の発表ですから、現状は結果と大きく異なっていることも考えられます。そのため短期的には、この新規失業保険申請件数が注目される傾向にあるのです。

新規失業保険申請件数の増加は、失業者が増えたことを意味しますので、景気減速の兆候のひとつとみられます。反対に申請件数の減少は、就職者が増えたことになりますから、景気の上昇を示唆します。
したがって失業保険申請件数が減少した場合は、基本的にドル買い要因と捉えることが「常識」とされているのです。

しかし例えば、2007年9月20日に発表された申請件数は前週比9千件減となったにもかかわらず、ドル/円が1円以上下落するなど、ドル全面安の展開となってしまいました。
同日に発表された米新規住宅販売件数や米耐久財受注が事前予想より悪化したため、そちらの内容のほうに市場が反応したことが、原因のひとつと考えられます。

このように、新規失業保険申請件数が減少したというだけでは、必ずしもドルが買われることはありません。特にその減少幅が狭い場合は、相応に為替相場への影響度も下がってしまうことが多いようです。したがって、一つ一つの指標を見ることも大事ですが、それ以上に他の多くの指標やそのときの市場における投資家心理等の動向も勘案して売買に望む必要があるといえるでしょう。

参考文献『これを知らずに外貨投資・FXをやってはいけない』(拙著、テクスト刊)

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