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第75回<外貨準備高と為替相場の関係

 

先週(2007年11月19日〜23日)、ドル/円は111円台で週を明けたものの、米景気の先行き懸念などを背景にドル売りが進み、一時、108円を割り込む場面もみられました。
この数ヵ月間、米景気の先行き不透明感からドル売り地合になっていますが、今後、注目したい材料のひとつに「外貨準備高」があります。
外貨準備高とは、通貨当局(中央銀行と政府)が輸入代金の支払いや借入金の返済といった国際収支の決済のために保有する準備資産を指します。主な内訳は、外貨建ての預金や証券、金で、その他IMFリザーブポジション*やSDR*なども含まれます。
外貨準備高は数年前まで日本がトップでしたが、その後中国が日本を追い抜き1位になりました。中国の外貨準備高は2006年には約8500億ドルでしたが、現在では1兆ドルを超えています(表参照)。
外貨準備高ランキング(2006年末)
(1) 中国  (1兆4千億ドル)
(2) 日本  (9,320億ドル)
(3) ロシア (4,160億ドル)
(4) 台湾  (2,610億ドル)
(5) 韓国  (2,550億ドル)
??? (2007年10月1日付 ロイター)
ところで、外貨準備に関する中国の要人発言が為替相場を大きく動かすことがあります。今月(2007年11月)はじめ、中国の要人が同国の外貨準備高に関する発言を行った旨の報道がなされたときも、ユーロが対ドルで急上昇しました。後にその発言が否定される報道がなされたためユーロは急反落しましたが、いずれにしても中国の外貨準備に対して市場関係者がいかに注目しているかがわかる出来事でした。
それにしても、なぜ外貨準備高の多い国の要人によるユーロの外貨準備を増やすという発言が、ドル売りにつながるのでしょうか。
外貨準備高のユーロへの変更は、それ自体、ドルを売ってユーロに変えることですから、ドルを下落させる要因となることはいうまでもありません。ただし、そのほかにもドルを下落させる次のような理由があります。
世界各国のドルによる外貨準備高の多くは、米財務省証券(TB)に向けられています。外貨準備高のドル離れは、TBの売却につながる傾向があります。TBは米国の双子の赤字の一つである財政赤字の埋め合わせに使われていますから、もしTBが大量に売られると、米国の財政赤字が深刻化します。そのため、外貨準備のドル離れは、米国の経済自体を悪化させることにもつながるのです。こうしたドル離れの動きが続けば、ドル暴落の危機を招くこともないとはいえません。
したがって、今後は外貨準備高に関する中国をはじめとする要人発言には特に注意し、場合によっては迅速な対応をとることも検討すべきでしょう。          

*IMFリザーブポジション:IMF(国際通貨基金)の加盟国がその国の出資金に応じてIMFから借り入れることができる額。
*SDR(特別引出権):Special Drawing Rights の略。IMFに加盟している国が、国際収支が赤字になった際などに、外貨準備を豊富に持っている他の国から外貨を特別に引き出すことができる権利。

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